第14回 小黒哲也新春書展( 於 良寛の里わしま・和らぎ家ぎゃらりー)に、「離」の精神を見る

 

書友のご案内で、長岡市島崎にある、良寛の里わしま・和らぎ家ぎゃらりーで開催中の、第14回小黒哲也新春書を鑑賞。書道の道を外れた自分が、いまさら立派な書展を見せてもらっても、と思ったが、ぜひに、とのお誘いをいただき、拝見。
期待を超える見応えのある内容に驚いた。かくも力のある書人が、この地域におられたとは・・・
小黒哲也氏は長岡市和島のご出身で、柏崎市在住とのこと。御歳50歳とのことで、まだお若いが、書の力量は新潟県内はもとより、日本書壇においてもトップクラスにあるものと拝察。

芸道のステージを表す「守破離」で言えば、小黒氏の作品からは、若かりし頃からの伝統書道のハンパない修練の軌跡、すなわち「守」の精神とともに、それを打ち破った、鮮烈なる「破」の精神が見て取れる。
が、「破」の域では、感心はさせられても、感動までは至らない。真の感動は、「どうだ!」という覇気や技巧から離れた「離」の境地、自在の精神から生ずることを、それこそ、この地に生きた良寛さまが、その生き様と書をもって示してくれている。そんなことを想いつつ、会場を巡っていたところ、思いもよらぬ傑作に遭遇。

『疾閃飛動』(シツセン ヒドウ/ 疾風の如く動きが機敏で、自由自在であること)
これぞまさに、「離」の書なり。
書壇での名声や評価に耽溺することなく、技巧を超えた「離」の書境を求める精神をそこに見る。

良寛さんは、嫌いなものとして「歌詠の歌、書家の書」をあげたと言われる。
心を忘れ、技巧に偏った表現を佳しとしなかったのだろう。
が、書家の書も、修練の果てに、離の境地まで到達できる可能性があることを、本作が示してくれている。

そして『大道無門』(だいどうむもん/ 悟りの道にはどこからでも入れる)
これもまた、白隠(江戸中期の禅僧)の書境を彷彿させるかのような、「離」の域にある書と言えるだろう。
印と書の組み合わせによる落款もいい。

実り多き書展を拝見させていただき、感謝。
良寛ゆかりの地に生を受けた小黒哲也氏の、書境ますます高まらんことをお祈りする。(てか、おまえががんばれ!W)

2月10日(土)は13時半から14時半まで、小黒哲也氏によるギャラリートークと席書揮毫あり。
装丁にも一つ一つ工夫が凝らされていて、たのしませてもらえる。
これだけの書展もそうは見れないと思うので、ご都合のつく方は、ぜひこの機会にお運びください。

 

会場風景

 

 

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