洗筆洗心

 

今日は書芸教室や書芸ワークショップで働いてくれた筆を、一本一本、感謝を込めて洗い清め、その労を労いました。その数、500本以上。
筆は兵士であり、戦友のようなもので、みな、本当によく働いてくれたと。
定例の書芸教室は先月をもって終了しましたが、またワークショップやイベント等で活躍してもらう機会があると思うので、それまでよく休んで養生してもらいます。

ところで、先月の真浄院書芸教室をもって、30年の歴史を持つ書芸教室を終了したわけですが、筆、紙、墨等を含め、上質の用具をすべて無料で提供するような書の教室は、おそらく他には無かったと思います。それも安価な参加費で。
しかも東京のSOGEN書芸塾では各界の著名講師をお招きし、毎回、懇親会まで開いて、参加者の負担にならないように補助までしていました。昨春に東京で開いた『新春書芸まつり』も、参加者の負担にならないよう参加費を安くした結果、大赤字。
それって「お客さんの笑顔が見れればいい」と言って、赤字覚悟で意地でも大盤振る舞いするメガ盛り食堂と似たようなもので、ほとんど儲かりません。またそれだけサービスしても、「SOGEN塾は高くて参加できない」という人もおり。

ということで、ビジネスとしては実に非効率的というか、ビジネスにさえなっていなかったわけですが、逆に損得勘定が出来なかったおかげで、30年も続けることができたのだろうと。
その間、儲かりはしなかったものの、良き出会いと交感の場として、数多くの書作家を輩出することができ、また自身も多くの人たちと交流し、成長することができたように思います。そういった意味では、お金には代え難い宝物を得ることができた年月であったと。

先にもお伝えした通り、かくして書芸教室は、その役割を十分に果たし終えたことから、定期的な書芸教室については先月の真浄院書芸教室をもって終了し、今後は自身の書制作に集中していきたいと。
ということで、これからまた、筆はもとより様々な用具用材に益々活躍してもらうことになると思いますので、新春のお披露目興行ではありませんが、隅から隅までずずずい~っと、おん願い申し上げたてまつります。

 

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