2002年日韓ワールドカップ公式ポスターを制作した際、国内外のメディアから取材を受けた。
アメリカのCNNをはじめとする海外メディアが東京のアトリエまで取材に訪れたほか、某テレビ局からは「ニューヨークで大々的に個展を開いてテレビ番組にしませんか?」というオファーまでいただいた。
ところが、当時は「世界のSOGEN」などと気負っていたものの、これをこそ表したいという明確なものがあったわけではなく、ただただ伝統的な書道の範疇を超えて、今に生きる芸術としての書の世界を求めていきたいという強い思いだけがあった。
そして、中途半端なまま時流に乗りたくない、これぞという芸術世界を世に問いたい、といった想いから、せっかくのオファーも断り、その後もただ一人、未知の宇宙を漂うかのような人生を送ることとなった。
美空ひばりなどの大物歌手のスチールカメラマンとして活躍していた某テレビ局の友人からは、「ニューヨークで個展を開いてテレビ番組にしたら、きっとイケてたと思いますよ」と言われたが、たとえそれで世間的に成功したとしても、まるで夢の中を浮遊するような、どこか地に足のつかない人生になっていた気がする。
そういうわけで、世渡り下手で苦労の多い人生にはなったが、だからこそ出会えた人々、支えてくれた人々がいて、今の自分があることに感謝している。
そして、ずいぶんと遠回りをしてきたけれど、その彷徨もまたいつしか糧となり、故郷での日々の暮らしの中で、この世界に生きる喜びを噛み締めながら、自分が本当にやりたいことをはっきりと感得することができたように思う。
それは何かというと、自身の芸術作品を通して宇宙自然の理法を視覚化し、具現化すること。
そして、宇宙の子であり、宇宙そのものである自分自身と人々の精神的肉体的な解放と成長進化に寄与していくことである。
それは何かというと、自身の芸術作品を通して宇宙自然の理法を視覚化し、具現化すること。
そして、宇宙の子であり、宇宙そのものである自分自身と人々の精神的肉体的な解放と成長進化に寄与していくことである。
また、作品を通して表されるのは「あらゆる生命の象形とその関係性」であり、「万物が発す波動とその絡み」であり、「宇宙万物の自然な変化変転」である。
書芸術のエキスを滋養としつつ、自らの肉体と精神とを宇宙自然の理法の中に融けこませ、さながら打ち寄せる波の如く、あるいは子供がラクガキするが如く、命のまま自由に遊び書くとき、伝統書道とは次元を異にする芸術世界への扉が開かれる。その瞬間に、命ある限り立ち合いたいと思う。
ようやく知った天命。これからの自分を通して溢れ出てくるであろう異次元世界との遭遇が、愉しみでならない。
2024SOGEN最新作より