貞心尼の直筆書に想う

 

昨日、長岡市和島の良寛の里美術館で開催された『良寛・貞心尼 手まり茶会』で、良寛と貞心尼の直筆書に触れ、深く感じ入るところがありました。そこで、僭越ながら、御両人に敬意を表し、現代書芸術の視座から眺望した私見を、ここに書き記したいと思います。

お茶会は場を変えて行われ、2会場でいただいたのですが、まず和らぎの家での最初のお茶席で、良寛を師と仰ぎ慕った尼僧、貞心尼の250年前に書かれたという直筆の掛軸を拝見し、その風雅にして力強い筆致に感服
ぜひみなさんにご覧いただきたく、拡大画像も合わせて掲載させていただきます。
墨が擦れながらも決して浮き足立つことのない、確かな筆致。
変体仮名を駆使しつつ、文化、書文化に基づく、揺るぎない文字書の造形美を瞬時に生み出す、その力。
いずれも、おそらく持って生まれた天分や境涯に加え、良寛との出会いにより、さらに進化したのではないかと。

そして注目すべきは、一本一本の筆線の、強靭にして自然な変化と息の長さ。
小手先でサッといってしまわずに、まるで這い進むが如き、強靭で息の長い線を、その時の自分の自然な呼吸をもって書いているところにご注目ください。時間に追われてせっかちに生きる現代人が取り戻したい、息の長さがここにあるように感じます。

 

詩文書を深く味わうには、詩文への理解もまた不可欠です。
会場で、変体仮名で書かれた詩文の読み下しを伺ったですが、忘れてしまった箇所あります。
他の箇所も果たしてこれでいいのか。ご存知の方は、どうぞご教授ねがいます。

月前時鳥
小夜布遣て 古古呂た可良毛 春みのほ類
月耳閑閑く累
し萬本と起要

《読み》
さよふけて こころたからも すみのぼる
つきにかかぐる
しまほときえ

続いて、貞心尼が師と仰いだ、良寛のヤバすぎる書をご紹介します。

 

-追記-

ただいま、同道させていただいた書友の方が、不明だった貞心尼の書の読みを送ってくれました。
いっぱい間違ってました。正解は以下となります。

小夜布遣て 古古呂た可良毛 春みのほ類
月耳閑多良ふ
世萬本とと起数

《読み》
さよふけて こころたからも すみのぼる
つきにかたらふ
やまほととぎす

いや〜〜〜〜、仮名って、シンプルな分、むずかしいですね。
ずいぶん睨めっこしてみたけど、わかんなかったんで。
でも、文字当てクイズ、言葉当てクイズみたいで、面白いです♪

 

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