青春芸術映画『線は、僕を描く』に想う

 


『線は、僕を描く』
をNetflixで鑑賞。
2020年「本屋大賞」3位、2019年TBS「王様のブランチ」BOOK大賞を受賞した青春芸術小説「線は、僕を描く」の実写版。
最近のイケメン主役の日本映画はあまり得意ではないのですが、ビジネスの師匠、USPプロデューサーのほこゆき(鉾立由紀)さんから、「一般の人たちに芸術の魅力をどう伝えるかの参考に」と薦められて視聴
実は、筆線芸術としての書芸を標榜する身としては、気になるタイトルの映画ではありました。僕が線を描く、ではなく、線は僕を描く、という主客転換も。

一言で言えば、水墨画との出会いを通して、虚無の闇に堕ちることなく甦っていく若者の姿を描いた青春ドラマであり、同じく筆線芸術としての書により、絶望から救われ、これまで生きてこられた自身の姿や想いとも重なるものを感じました。

自然に寄り添って線を描き続ける
自分の線は自分で見つける
そうして見つけた線が、また自分を描く
私がそうであったように、水墨画がきっと君の生きる力となってくれる

という劇中で発せられた水墨画の師匠の言葉は、まさに書芸の精神に通ずるものであり、
「目の前の花じゃない  心の中の花だ  水墨画が描くのは」という主人公の言葉もまた、
書芸の精神そのものであると、共感を覚えた次第です。

余談ですが、かつてワーナー・ブラザーズ社より、『書道ガールズ』という高校の書道部を舞台とした映画の試写会に招かれ、批評を求められたことがあります。
その映画の主旨は、お手本を見て習うばかりでなく、想いを書に託して自由に表していいんだよ、といったもので、ここまで来て、ようやく世の中の書道への認識も少しは変わってきたのかなと、当時思ったものでした。
それからすると、水墨画ということでジャンルは違えども、線の生き死にに着目し、カタチを通して心を表すのだいう、東洋の美術の核心に焦点を当てた映画がつくられたことは、進歩であり、喜ぶべきことなのかもしれません。

あと映画中の主人公の筆の持ち方や描く姿勢が、心境の変化成長に応じて変わっていくのも面白いなと。
『線は、僕を描く』 まあ映画なので、ツッコミどころも満載ですがW、興味ある方はどうぞご視聴ください。

SOGEN書芸アートパフォーマンス

 

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