その昔、長岡造形大学デザイン科の教授をされていた福田毅さんに、自身の進むべき方向について相談させてもらったことがありました。今、自分はデザインとアートの双方にまたがる仕事をしていますが、どちらの方向に向かうべきでしょうかと。対して福田さんは「アートのほうがいいよ!」と即答。
当時、広告デザインの最先端をいき一世を風靡していた福田さんでさえ、そう思うのかと、ちょっと意外に思ったものです。
これなど、もはやアートでしょう。
どちらかと言うと、デザインが理詰めで構築していくのに対し、アートは直感をもって生み出していくところがあり、その際、意図や計算を超えた意外性が生まれます。
その点、先のサントリーローヤルのCMなどは、芸術に大幅に寄った表現であり、それが見る人をドキッとさせたり惹きつけたりするのだろうと。
そこで思うのが、デザインにおける書の有用性です。
理詰めで構築された、カッチリしたデザインの中に書を取り入れることで、異種の波長と動きが生ずる。
それが、綺麗だけれども感動の薄い予定調和を突き崩し、人々の心を捉えて動かすことを可能にする。そこに、AIでは生み出し得ない、人間の直感と身体運動によって生み出される、無限の宇宙にも通ずる生きた書の、大いなる魅力と価値があるように思うのです。
それが、綺麗だけれども感動の薄い予定調和を突き崩し、人々の心を捉えて動かすことを可能にする。そこに、AIでは生み出し得ない、人間の直感と身体運動によって生み出される、無限の宇宙にも通ずる生きた書の、大いなる魅力と価値があるように思うのです。
ということで、いまなお自分は、書芸による未知なる芸術世界を求めるとともに、書をもってデザインに命を吹き込むという、デザインとアートの双方またがる仕事を続けている次第です。