クイーン・エリザベス号御用達の日本酒『明石鯛』

 

クイーン・エリザベス号御用達の日本酒『明石鯛』(2018/ 明石種類醸造)のロゴ書のご紹介をさせていただきます。

書案はオーソドックスなものからデザイン性の高いものまでプレゼンさせていただき、現行の書にお決めいただきました。
ラベルデザインは、クリスさんというロンドンのイギリス人デザイナーさんによるもので、彼の書とデザインへのこだわりが半端なく、とても良い勉強をさせていただきました。日本人の書家やデザイナーでさえ、ここまでこだわる人も、そうはいないだろうと。

当時のメールを見返していたら、クリスさんに宛てた、以下のようなメールが出てきました。
裏話になりますが、なかなか書芸家としての矜持を示しつつ、書の本質や心技の一端を伝える面白い内容だったので、紹介させていただきます。

クリスさん、こんにちは。
『明石鯛』ロゴ書の最終修正版データをお送りしますので、ご確認ください。
ご存じの通り、書においては、形のみならず、一本一本の線質が、イメージやコンセプトを伝えるうえで大変重要になります。そのため、ロゴ書データの作成においては、コンマ数ミリ単位で、にじみの1点までこだわって制作しております。
線の周りのにじみによる凸凹はアウトラインをかけて綺麗にすることもできますが、にじみは書の味わいとなっているため、綺麗にし過ぎると、せっかくの味が消えてしまうことから、にじみの1点まで生かしています。ストレートなラインではなく、境界にあいまいなにじみを伴う筆線をもって書き表すところが日本的なのです。
ということで、今回お送りしたデータは、クリスさんからいただいたディレクションに基づき、線の一本一本までこだわり、最高のものをお届けすべく、ベストを尽くして制作いたしました。
ここまでこだわってやったのは、最高のものをつくりたいというクリスさんはじめ、関係者のみなさんへの敬意の表明でもあります。
こちらでよろしければ、完成版の高解像度データを納品いたしますので、ご一報願います。
また、もし、さらに修正が必要ということでしたら、もはやこちらで書に手を加えることは出来ませんので、お送りする高解像度データを元に、そちらで完成いただくようお願いします。(その際、必要でしたら、書的に見てどうかというアドバイスについてはさせていただきます。)
以上、よろしくお願いいたします。

SOGEN
平野壮弦

ということで、「書なんてパッと書けるだろう」と思われがちなところもありますが、書制作の仕事とは、その一瞬の中に、書の心技をもって、魂をこめる仕事なのであります。

 

SOGENでは、書を今に生かし、人様のお役に立つことを志命とし、AI時代に際立つ入魂の書芸アート、デザイン書を、ご予算に応じてお届けしております。
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