今回の西脇邸での平野壯弦書芸作品展は、中学時代の同級生である梵字書道家の田邊武(奝武 ちょうぶ)氏が主催する『武星会悉曇梵字展』との特別併催展となっています。
作品は、書芸アート作品、梵字書道作品とも、出来不出来はあっても、いずれも入魂の作となっています。そして中でも異色の注目作が、こちらの田邊師と壯弦によるコラボ作品です。
壯弦が「華」と書いたところに、田邊師が梵字を載せています。
右:『華誕』 2025
ちょっとは遠慮して被らないように書くものですがW、ドンと真上から梵字を重ね書いてきたのには、う〜〜ん、さすがだなと 互いに遠慮していては、真の響き合いの世界は生まれてはこないので。
ですが、かといって、互いに自己主張ばかりしていても不協和音だらけで調和には至らないわけで・・・それって人間同士の関係と同じなんじゃないかと。
書芸ワークショップにおいても、折に触れてコラボレーション制作を行なっていますが、求めるところが交響による美世界であることは同じです。
そして今回の展覧会で感じたのは、書芸作品展、梵字展とも、作品を観てもらう場であるとともに、作家と鑑賞者はもとより、鑑賞者同士の繋がりを生み出し、広め、深める場でもあるのだと。
互いに違いに目を向けて分断していくのではなく、繋がれるところ、共感し合えるところで繋がっていく心が、霊長類としての人にとって、大切なのではなかろうか。そして、肉体だけでなく、魂を繋いでいくことで、人々の魂は虚無の闇に呑まれることなく、共に救われ、光に包まれていくのではなかろうか、などと、ふと思ったのでした。