『重野桂二追悼展ー雪国を愛してー』に想う

ひさびさに、星と森の詩美術館へ。
12月から3月までは休館につき、冬籠り前にご挨拶。
夕陽を浴びて光輝く、藤巻秀正先生の野外彫刻に思わず足を止める。
野外彫刻は、自然と溶け合って、四季折々、見るたびに違った表情を見せてくれるのがいい。
いわば瞬間瞬間が、自然とのコラボレーション。

今回拝見したのは、『重野桂二追悼展ー雪国を愛してー』
重野桂二さんは、昨年、他界された、故郷十日町の木版画家
地元にこんな素晴らしい版画家の方がおられたとは、迂闊にも知らず・・・
作品を見て驚いた。まさに書芸じゃないかと。
技巧を凝らした具象作品、色彩を用いた作品も数多くあったが、自分は、より抽象に近いモノクロ作品を買いたい。
人それぞれ好みの違いはあるだろうが、自分など、いかに上手かろうが、具体的に描き込まれた絵ほど、説明的に思えて、つまらなく見えてしまう。それなら実際の風景やスナップ写真を見て、鑑賞者が思い思いに感じ取ればいい話。それよりも、たとえば長谷川等伯の『国宝・松林図屏風』を見るかのように、作家の心象をこそ味わいたいのだ。
重野さんの手になる木版画はどれも素晴らしかったが、自分が一番気に入ったのが、下の『雪・木7』と題された1973年の作品。こうした作品を押し通して作り続けていれば、名実ともに世界的な芸術家たり得ていたと思うのだが、どうだろうか。

重野桂二
雪・木7
1973頃
木版画

Keiji Shigeno
Snow・Tree 7
around 1973
woodblock paint

重野さんの版画の黒は、一色ではなく、いくつもの黒色の版を重ねて表されているのだという。黒一色では黒にならないのだそうだ。黒が生きれば白が生きる。白を生かすための黒なのだ。
この重野さんのモノクロームの世界観は、雪との対峙によって熟成されたのだと思うし、その点、先に紹介させていただいた、津南町に移り住み、雪をテーマに撮り続けている写真家の中井菜央さんの世界観にも通ずるものがあるように思う。
ピカソにもバスキアにも負けない、日本初、雪国発の作品世界が、ここにある。
重野さんとは一面識も無いが、今日、重野さんの芸術魂は、確かに作品とともに会場にあった。
重野桂二.版画,木版画家,星と森の詩美術館,新潟,十日町,芸術,書芸,SOGEN,平野壯弦
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