ふと思った。漫然とした人間の世界を打ち破る力を持った芸術家に共通しているのは、超人的な生命力と増殖力ではなかろうかと。ただしそれは、元気だとか、活発だとか、長生きだとかいった話ではない。
つまり、腕力に任せて縄張りを広げるような、動物的なそれよりも、己の世界観を、世の中に合わせて曲げることもなく、また抗うこともせず、ジワジワとひたすらに増殖していくような、何か細胞的な、あるいは植物的なそれである。
そう思って近現代の芸術家を見渡せば、たとえばゴッホにしろ、ピカソにしろ、バスキアにしろ、キース・ヘリングにしろ、草間彌生にしろ、棟方志功にしろ、一見野獣的に見えて、その増殖力は、岩をも穿つ水滴の如く静かで、しかも強く、揺るぎない。長谷川等伯や良寛もそうだ。
宇宙に話が飛ぶが、ブラックホールは別の宇宙への入り口であるとする説があるそうだ。だとしたら、芸術家は、極度の膨張と収縮で生まれた、膨大な質量のブラックホールの如く、別の宇宙、異次元に誘う触媒たり得る、宇宙的存在なのかもしれない。
なんてね。
自分でも、ちょっと何言ってんのかよう分からんけど、美貌のために、ちがった、備忘のために書き留めました。




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